冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

「昨日、……銀座で見かけたの、上條君を」
「……え?」

昨日?
……あ、昨日のあれをか?

「で?」
「……すっごく綺麗な人だった」
「あ~、ん~、一般的にはそうなのかも。ミスキャンパスだったって聞いてる」
「っ……」
「それで?」
「それでって……、何だかとってもお似合いだったから」
「ん~……返答に困るっていうか、見た目的にはお似合いの方がいいんだろうけど、ちょっと複雑だな」
「っ……、何それ」
「長瀬も一緒だったの?昨日」
「……ん」

やっぱりな。
小森と長瀬が昨日のあれを見て、それで今日のあの態度に繋がったわけか。
それって、めちゃくちゃ俺的には嬉しいんだけど、マジで。

あの人に嫉妬したってことだろうから。
だとすると、だいぶ好感度が上がったってことじゃね?
無意識に頬が緩む。

「俺らの会話聞こえた?」
「……ううん、結構距離があったし」
「そっか」
「2人でジュエリーショップに入って行って、その後に嬉しそうにその店の紙手提げを持ってる彼女さん見たから」
「……彼女さん、ねぇ…」
「あんな綺麗な彼女さんいるなら、私のことなんて放っておけばいいのに。何でこうして近づこうとするの?揶揄ってんの?」

やべっ、めっちゃかわいいっ。
大きな瞳が潤んでて、声が震えてんだけど。

「付き合い長いの?」
「……6年?……7年目か??」
「………っ」

俺が小学校4年の時だから、今年で7年目だよな。
いつだったか思い返していた、次の瞬間。
俺の視界にポタっと何かが零れ落ちた。

「………ッ?!!」

え、えっ……、泣いてんの?!
大きな瞳から大粒の涙が溢れ出してる。

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