運命の恋を、君と…
強欲
それは、一心の何気ない言葉からだった━━━━━

「は?今、何っつった?」

ランチ中。
一心が、ご飯を頬張りながらポツリと言った言葉に目を見開いて反応する俊英。

「ん?だから!
蓮花ちゃん、昨日会社の後輩にコクられたらしいな。
もちろん断ったらしいが、モテるなぁー」

「………」

「俊英?」

「………」

「俊英が、固まってる(笑)」

「それ、何処のどいつ!?」

「は?知らないよ。
俺は、御子に聞いただけ。蓮花ちゃん、モテるねって話」

「聞きたくなかった」

「あー、ごめんね~
てか!俊英だって、よくコクられてたじゃん!」

「それは!蓮花に再会する前だろ!?」

「まぁ、そうだけどさ。
てか!蓮花ちゃんに何の非もないんだから、そんな怒んなよ!
コクられたって事実があるだけで、どうってわけじ
ゃないんだから!」

「わかってるっつうの!!
お前がよけいな話を俺の耳に入れるからだろ!?」

「はいはい…ごめんね~」



その日の仕事終わり。
蓮花からメッセージが入ってきた。

【お疲れ様(^^)
今日残業になっちゃって、遅くなります。
たぶん遅くなるから、先にご飯食べててね!】

「は?」
(残業?誰と?)

「俊英、お疲れ~」
固まってる俊英の横を、一心が手をヒラヒラさせて去っていく。

「一心!!」

「え?なぁにー?」

「御子さん、今日残業?」

「は?
ううん~、だって今日はデートする約束してるしぃー
何?蓮花ちゃん、残業なの?」

「相手、誰だ?」

「知らねぇよ。
…………つか!そうゆうの、やめろ!
蓮花ちゃんを信じろよ!
例え男と残業だったとしても、何かあるわけねぇだろ!?
お前、どうしちゃったの!?
なんか、ウザい男化してるぞ!?」

「…………はぁ…だよな…」
俊英は、自身の顔をパチン!と叩いた。


「━━━━━全然、旨くない…」
おとなしく自宅に帰り、夕食を一人で食べている俊英。
蓮花程はないが、それなりに自分の料理は美味しいと自負しているのだが、今日は全く美味しくない。

一人で食べる食事が、こんなに寂しく美味しくないとは思ってもいなかった。
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