結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
一緒に朝食を取り、出社の準備を済ませる。

「うん、やっぱり似合ってる」

私の胸もとに下がるアクアマリンのネックレスを、眼鏡の奥で眩しそうに目を細めて矢崎くんは見た。

「俺の奥さんって印だから、絶対に外すなよ?」

アクアマリンを手に取り、身をかがめた彼がそこに口付けを落とす。

「わかってるよ」

「俺のは今日、帰りに受け取ってくる」

「一緒に行けるように、できるだけ頑張って仕事終わらせるよ」

「無理はするなよ」

ちゅっと今度は、つむじに口付けが落とされた。
お揃いとはいかないが、似たようなデザインのネクタイピンを探してくれるよう、矢崎くんの付き合いのある百貨店に依頼してある。
そんなことができるなんて、住む世界の違う人なんだなーって思う。

一緒に出勤しながらふと思う。
……会社では結婚したのは秘密と言いながら、これではバレバレなのでは?

「ねえ」

「なんだ?」

声をかけられ、矢崎くんが私を見下ろす。

「一緒に出勤したら、結婚はあれとして付き合ってるってバレない?」

「……はぁーっ」

足を止めた彼が呆れたようにため息をつき、さすがにムッとした。

「今まで毎日一緒に通勤してたのに、いまさらだろ?」

「……ソウデシタ」

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