親愛なる魔王の君へ～転生したので、魔王の側近になります！～

「僕は、本気で大賢者を目指してたわけじゃないって……最近気づきましたから。今なら、分かるんです。昔は……大魔導師になる前は、毎日魔法の練習に打ち込んでいました。しかし、大魔導師になって……クラル様の側近になって……僕は、気が向いた時にしか魔法の練習をしなくなったんです。そして、八咫烏たちの試練を通して知ったんです。僕は、クラル様を支えられるだけの強ささえあればいいと心の奥では思ってるってことに」

「……そっか。話してくれてありがとう……ルカさんもクロードも指導を始めてるし、俺らも始めようか」

レオンさんの言葉に、僕は「お願いします！」と返事をした。



日が暮れるまで特訓した後、僕はクラル様に借りてた本を返すためにクラル様の自室に来ていた。

「……魔法って、思ってたよりも難しいんだね」

僕から本を受け取ったクラル様は、そう言う。

「……感じ方は人それぞれ違うし……僕からは何とも言えないかな」

「そうだね……ちなみに、ルーチェはどう感じたの？初めて魔法を使ってみた時って」

「……僕は、あれ？意外と簡単だな？って感じましたよ……あ、そうだ。クラル様……時間が出来たら言おうと思ってたことがあったんだ」