雑記帳

お見通し。

──優しい笑顔。美しい眼、弧を描く唇。

全てが私の心の臓を騒がせる。

白磁の指先がグラスに這うと、その指を絡めて繋ぎ止めておきたいと切に願うのだ。

この視線に気付け、気付くな、気付いてくれ。

矛盾した思いを抱えながら、私は今日も彼女と酒を酌み交わす。


今日は煙草を吸わないのね、と。

歓談の音に交じる、こそりと囁く声。


顔を上げると──淡い光の向こう側で、こちらを見詰めている彼女が薄く笑っていた。
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