溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。



「――やめろ極月っ!!」


大きな叫び声が聞こえた瞬間、苦しさが少し和らぎました。


「リユ、くん……」

「小宵を離せ……っ」


リユくんの顔は真っ青で肩で息をして、非常に苦しそう。
もう体が限界なのでは……!?

極月さんはリユくんの登場に動揺したようで、少しずつ私の周りの空気が元に戻っていきます。


「どうして……どうしてそこまでこの子に執着するの?」

「好きだから」

「死んでもいいの?」

「いいよ……死んでも他の女の血はいらない」


苦しそうにしながらも、ニヤッと微笑むリユくん。
こんな時にと思いながら、胸のときめきを隠せませんでした。


「俺は生涯、小宵の血しか吸わないし、小宵しか愛さないって決めたから」


リユくん――……


「大好きだよ」

「……っ!!」


息ができるようになった途端、私は走り出してリユくんに抱きつきました。

涙でぐしゃぐしゃになった汚い顔でしたが、夢中で彼にしがみついていました。


「わたしも…リユくんがすきです……っ」

「小宵……」


リユくんは震える手で、でもしっかりと私を抱きしめてくれました。
その温かさにまた涙が溢れます。

私はどうして、リユくんの気持ちを疑っていたのでしょうか――?
リユくんはずっと伝えてくれていたのに。

彼の言葉には間違いなく愛情があったのに。
いつでも私を優しく包み込んで、心から大事にしてくれていたのに。


< 53 / 57 >

この作品をシェア

pagetop