御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

垣間見る優しさ

 
 翌日。

 トイレに入ったら、同期で親友の佐知に会った。彼女は隣の本郷さん達と同じ二部に所属している。
 少し首の傷がヒリヒリする。絆創膏を少し外して見てみると化膿してはいないが周りも赤い。急いで元に戻した。

 「あれ、香那。どうしたの、その首のとこ。まさか、キスマークでもあるの?」

 笑いながら聞く。私はトイレの窓に映る自分の姿を見て、恥ずかしくなった。

 「ち、違うよ。ちょっと、昨日ひっかかれて……」

 「ひっかかれた?それこそ、誰に?普通そんなとこ誰もひっかかないよ」佐知がニヤニヤ笑ってる。

 「もう。佐知が想像するようなのじゃないってば」

 「香那からそんな話聞いてないからさ、からかってみただけだよ。そんなに慌てて赤くならなくてもいいのに」

 「……」

 「どう、イベントのほうは?忙しいみたいだよね。本郷さん、全然フロア来ないもん」
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