御曹司くんには婚約者がいるはずでは!?


それでも氷上くんのサボり癖はすぐには直らなくて、度々注意しに行ってたんだよね。


『いいんちょーは、俺に普通に接してくれるよね』

『あ・・・ごめん、なさい』


注意しても怒ったりしない氷上くんに、ちょっと厚かましい態度だったかなと、その時は背中が少しヒヤリとした。

相手は氷上財閥の御曹司なのだ。


『なんで謝るの。そのままでいいよ』


優しく表情を崩した氷上くんをこの時初めて見た。


『いいんちょーの仕事増やしてごめんね』



それから、サボりたいとは言うけど、サボることは無くなったんだよね。


なぜかわからないけど、いつからか席替えの度に毎回隣の席になる氷上くんとはいつのまにか普通に話せるようになっていた。


氷上くんと話していると、大財閥の御曹司だということを忘れそうになる。それくらい気さくに話してくれるのだ。


氷上財閥といえば、この国の三大財閥の中の一つで、この学園内のVIPランクの中でもトップに君臨している。



そう、一般庶民の私とは全く別世界の人。



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