攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!

第16話

 カール・ライデル。
 中等部に入学してから、最初に仲良くなったヤツだった。
 あの日までは、ずっとグレンジャーの後を追いかけていたのに。


 翌日からは、オスカーとグレンジャーから距離を取るようになった。
 カールから話しかけてくるなんて、何年ぶりか……


「グレンジャー・オルコット、君もそろそろ目覚めた方がいいんじゃないの?
 いつまでも怖がらないでさ」


 久し振りのカールだが、こんな話し方をする奴だったか?


 にこやかなのに、面倒くさそうなこの感じ。
 小役人臭がするような……
 




 カールが腕を伸ばして、グレンジャーの肩に触れた。


「親友なんでしょ?
 魔法を使って、力になってやってよ」



 お前は何様か? と反発心が沸き上がってきたのは一瞬で、それよりも……
 カールがカールじゃない顔を見せたことに、畏れを感じたが、それを振り払った。


「お前に言われなくても、そうするさ」


 それを聞いたカールはますます笑顔を見せて、ひらひらと手を振りながら教室を出ていった。

 お前からヤバいと思って、俺達から離れていったくせに。
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