攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
 カーネルの寝室は、昼間でもぐっすり眠れる様に、遮光シールドが掛けられていて、その上、外部の音もシャットアウトして防音も完備している。


 明るい学苑から転移してきたグレンジャーは、暗闇状態の養父の部屋に現れた途端に、足元に散らばった洋服に足を取られて。
 寝台の上で寝付いたばかりのカーネルの腹の上に倒れこんだ。
 養父のみぞおちに、養子のエルボーが入った。

「おっ、おっ、ぐえっ」


 グレンジャーは身長173センチ、体重62キロと。
 どちらかと言えば小柄だが、それでも18歳の高校3年生男子だ。

 それにのしかかってこられて、身長191センチ体重85キロのカーネルは『すわ、敵襲か!』と、咄嗟に攻撃体勢に入れたことは、さすが魔法省トップの長官だけある。


 慣れてきた夜目と、魔力の動きで。
 カーネルから攻撃を受けるかも、と。
 グレンジャーの方は防御体勢を取りながら、大声で叫んだ。


「俺、俺!グレン!
 オスカーが、大変だっ!」




 わずか15分足らずで、グレンジャーは親父殿を連れてきた。
 オルコット長官の髪は乱れ、服装のボタンはかけ違っていて、睡眠不足の目は血走っていた。



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