Far away ~いつまでも、君を・・・~
「はい。」


嬉しそうに返事をする尚輝に


「あんた、やる気あんの?」


と冷たく一言。ヘッ?といった表情になった尚輝に


「さっき、休憩時間に、1年生の練習見てたんだけど、先生の話は全然聞いてないし、曽引きもいい加減にやってるし、あんた、断トツにやる気なかったよね。」


と決めつける彩。


「いや、その・・・。」


やっと話し掛けて貰えたと思ったら、いきなりキレられ、尚輝があたふたしていると


「あのさ、あんたがなんでウチの部に入って来たか、知らないわけじゃないけどさ。別に入部動機なんで、どうでもいいんだよ。」


と彩が、まくしたてるように続ける。


「動機や理由がどうであれ、始めるって決めたからにはさ、真剣にやって欲しいんだよね。」


「先輩・・・。」


その彩の言葉に、尚輝はハッと彼女の顔を見る。


「私は今、弓道をやってる時が1番楽しい、充実してる。テスト期間に、弓に触れなくてイライラしちゃうくらい。もちろん万人がそう思うなんてあり得ないけどさ。でも、あんた弓道部員でしょ。そんなあんたが、あそこまでいい加減に弓道に取り組んでるの見ると、腹が立って仕方ないんだよ!」


「・・・。」


「やる気ないんなら、とっとと退部しなよ。別に止めないよ、私、あんたにどうしても弓道やって欲しいなんて、みじんも思ってないし。」


「ちょっと彩、もう止めなよ。」


流石に言い過ぎだよとばかりに、口を挟む遥に構わず


「その方が、あんたに付きまとわれなくて、せいせいするし。ついでに、この際だから、はっきり言っとくけど、私、あんたに興味持ったりとか、絶対に無理だから。じゃあね。」


そう言い終わると、呆気にとられる尚輝を残して、彩は足早に歩き出して行った。
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