Far away ~いつまでも、君を・・・~
日曜日の夜で、このあとの予約も入っていないことから、2時間の予定だった2次会は幹事たちの手によって、1時間延長されていた。


賑やかな雰囲気の中、彩もいろいろな人たちと会話を交わす。


(考えてみたら、プライベートで男性と話したのって、夏の弓道部のOB会除いたら、いつ以来だろう。)


今どき、女子高や女子大の生徒だって、もう少し、機会があるんじゃないだろうか。そんなことを考えていると


(そっか、そう言えば、大地さんと話したことがあったな・・・。)


と思いついたものの、これはノーカウントだよなと、彩は内心苦笑い。


「だいぶモテてたじゃないか?」


という声が聞こえて、その方を振り向くと


「斗真先輩。」


笑顔の斗真がグラス片手に立っている。


「ご無沙汰してます。すみません、ご挨拶にも行かないで。」


頭を下げる彩に


「そんなの気にするな。それより、今日はお疲れさん。」


そう言って、グラスを上げる斗真。


「ありがとうございます。」


「香田が言ってた。『いろいろ不安なこともあったけど、彩がいてくれたお陰で、本当に心強かったです。』って。」


「そうですか、光栄です。先輩たちもよろしければ、是非お待ちしてます。」


冗談めかして、彩が言うと


「俺たちは当分予定ないからな。」


斗真はあっさりと答える。


「えっ、そうなんですか?」


思わず彩は言ってしまう。付き合い始めてから、そろそろ10年になる斗真と由理佳。年齢的にもゴールイン間近だとばかり思っていたのに。


「付き合いが長過ぎるというのも、良し悪しだ。なんかきっかけが掴めないというか踏ん切りがつかないというか。それにお互い仕事が忙しくてさ、そんな雰囲気に、なかなかならないんだ。」


苦笑いで、そんなことを言う斗真。そう言えば、今も一緒じゃないし、披露宴の最中も、2人はあまり会話を交わしてなかったような気がする。


(なにかあったのかな・・・?)


気にはなったが、それを口にするのもなんとなく憚られて、彩が黙っていると


「それより廣瀬の方はどうなんだよ?」


斗真の方が問い掛けて来た。
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