Far away ~いつまでも、君を・・・~
それから、数日が経った。あの突然の告白劇は、その日から翌日に掛けては、クラスや学内の話題となり、あの男子の正体を突き止めようとする動きもあったが


「別に興味ないし、下手に詮索して、面倒臭いことになっても嫌だから、もうほっといて。」


と彩が言ったこともあって、少なくとも彼女の周りでは、そんな動きはなかった。


「でも可愛い顔してたし、背もまあまあ高めで、どっちかって言うと彩のタイプだったんじゃない?」


と遥にからかわれるように言われたが


「そうだった?突然のことで、相手の顔、あんまりよく見てなかったし、第一、告白するなら、せめて自分のクラスと名前くらい名乗ってからにしてよって話だよね。」


彩は憮然とした表情で応じる。


「それなんだけどさ、あの子『先輩』って彩のこと呼んでたから、1年生だよね。タメや先輩ならともかく、入学してからまだ1ヶ月も経ってない新入生がいきなり、見ず知らずの2年生に告白して来るかな?」


「・・・。」


「ひょっとしたら、あの子と彩は、前にどこかで会ってんじゃないの?」


遥は尚も、興味津々といった風情で尋ねるが


「さぁ、全然知らない顔だったな。」


と素っ気ない彩。


「でもあの子、彩の名前知ってたし。」


「そんなこと言われたって、知らないよ。とにかく、いきなりあんなこと言われても困るし、こっちだって対応しようがない。だから、もうあの話は終わり、終わり。」


彩はこれ以上、この話題に関わるのは御免と言わんばかりの態度で言った。
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