Far away ~いつまでも、君を・・・~
「ふう・・・。」


とついたため息を


「なんだ、新年新学期早々ため息とは、らしくないな。幸せが逃げるぞ、そんなんじゃ。」


秀にからかわれて


「ため息つくのに、新年とか別に関係ねぇだろ。」


思わずムキになって、尚輝は言い返す。


「はは~ん。その様子じゃ、また廣瀬さんに振られたな。」


「うっせ!」


図星をつかれて、いよいよ不機嫌になる尚輝。


「別に今更、落ち込むことでもねぇだろ。」


「えっ?」


「お約束みたいなもんじゃんか。というか、もはやみんな告白ネタだと思ってるし。」


「なっ・・・。」


容赦のない秀の言葉に、尚輝は二の句が継げなくなる。


「だって、誰が見たって、脈なしなのは明らかなのに、お前さ、いくらなんでも諦め悪すぎなんだよ。そのうち、スト-カ-として訴えられるか、弓道部から追放されるのがオチだぜ。友人として、忠告する。人間、諦めが肝心だぞ。」


「本当に好きな人を、そう簡単に諦められるかよ!」


表情を改めて言った秀に、叫ぶように尚輝は言い返す。


(簡単にって、この8か月の間に、何回告って、何回振られたと思ってんだよ・・・。)


内心で、そう呆れながら、秀がまた言葉を継ごうとすると


「そうだ、そうだ。」


それを遮るように、横合いから声が。驚いて振り向くと


「京香・・・。」


秀の幼なじみの、菅野京香だ。新学期の席替えで、尚輝の隣の席になった彼女は、どうやら2人の話をずっと聞いていたらしい。


「秀は冷たいね、それでも二階くんの友達なの?」


京香に突っ込まれて、小さい頃から彼女に頭が上がらない秀が口ごもっていると


「二階くんの気持ちは、よくわかるよ。だから私、断然二階くんのこと応援するから。頑張って。」


「あ、ありがとう。」


思わぬ援軍の登場に戸惑いながら、尚輝はそう答えていた。
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