Far away ~いつまでも、君を・・・~

中間考査が終わり、インハイ予選まで、2週間を切った。


「廣瀬、香田、町田、今までありがとう。これからは、もう自分達のことだけを考えろ。」


「でも・・・。」


「後輩を導くのも確かに主将としての役目だろうが、試合に向け、自身のコンディションを整え、力を発揮して、チームを引っ張るのも、お前の、お前達の最大の使命であり責務だ。今日からはそれだけを考えろ、いいな。」


「はい。」


児玉にその言葉に、彩はようやく納得して頷いた。


(これから2週間、とにかくひたすらに弓を引く。それ以外のことは考えない。)


そう思い定めた彩は、自分の練習に没頭し始める。その彼女の姿に、遥も町田も他の部員たちも、引っ張られるように、集中して行く。その中に、尚輝もいた。


尚輝は2年男子で、ただ1人、インハイ予選の選手に選ばれ、団体戦だけでなく、個人戦にも出場することになっていた。抜擢と言えた。


「二階くん、凄いね。」


そう言って、喜んでくれたのは、京香だった。


「試合でいい結果が出たら、今度こそ、廣瀬先輩、あなたのこと、認めてくれるよ、きっと。だから、頑張って。」


そう励ます京香に


「どうかな?」


尚輝はポツンと言った。


「えっ?」


驚いたように聞き返す京香。


「俺、彩先輩が1年の面倒見てる時間が長過ぎないかって、ずっとやきもきしてたんだけど、でも自分で気付いちゃったんだよ。それって、別に先輩の心配してたからじゃなかったんだって。」


「どういうこと?」


「俺はさ、先輩の周りに、先輩に憧れてる男どもがいるのが、ただ嫌だっただけ。」


「二階くん・・・。」


「それに気が付いたら、なんか情けなくなって。ああ、これじゃ彩先輩に振られ続けるのも当たり前だなって。菅野にも、一所懸命に応援してもらってたのに、俺ってちっさ過ぎって。」


そう言って、自嘲気味の笑みを浮かべる尚輝。


「それって仕方ないことだよ。好きな人の周りにいる異性なんて、目障りに思うのは、当たり前じゃない。」


そう言った京香に


「菅野は、本当に優しいな。」


尚輝はしみじみと言う。


「別に優しくなんかないよ、私は。」


そう言って、首を振る京香。


「俺、決めたよ。」


「えっ?」


「最後の勝負、かける。」


「最後?」


驚いたように聞き返す京香に


「ああ、最後だ。」


尚輝はそう言い切った。
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