Far away ~いつまでも、君を・・・~
そして休日明け。ブライダル業界は、一般的に火曜定休が多いのだが、ホテルに定休はない。


土日に比べれば、平日のウェディングプランナ-の時間は、ゆったりと流れる。10時出勤の彩は、サロンの清掃や朝礼を経て、まずはパソコンに取り付く。


平日は来場者は少ないが、その分、担当しているお客様から問い合わせなどのメールが、夜間に入っていることが多い。まして、昨日が休みだったので、待たせてしまっている可能性も高い。目を通し、対応が必要なものについては、出来るだけ早く返信する。


それが終わると、上司や同僚とのミーティング。情報共有、ブライダルフェアの企画、週末の式に向けての、他部門との打ち合わせもある。


昼食を挟んで、引き続き、打ち合わせや式で使用する備品の発注などをこなすが、平日と言えども挙式予定者との打ち合わせや、新規の問い合わせといった来場者が全く0ということはない。それらの対応は、当然怠ることは出来ない。


そうこうしているうちに、19時の定時に。平日の残業はなるべくしないようにとは、上司からも言われているし、土日祝日の長時間労働を調整する為の、フレックスが認められている日もある。


この日は、彩も定時で退勤。休日よりは、むしろこれからの時間の方がプライベ-トを楽しむことが多い。同僚と飲みに入ったり、ショッピングを楽しんだり、時にはエステに通ったり。


そしてこの日は、高校時代からの親友、遥との食事の約束が出来ていた。


大学卒業後、彩同様に故郷には帰らず、こちらで就職した遥は、保険会社で事務を担当していた。


「彩、少し痩せた?」


「そうかな?」


「うん、相変わらず仕事忙しいの?」


「まぁね。」


「体調、大丈夫?」


「身体が頑丈なのだけが、取柄ですから。」


久しぶりに親友の顔を見られて、彩は笑顔で答える。


「よし。じゃ、今日はいっぱい食べて、いっぱいおしゃべりしちゃおう。」


「OK!」


そんなことを言い合うと、2人は楽しそうに歩き出した。
< 94 / 353 >

この作品をシェア

pagetop