モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
「あっ、ごめん。悪気があったわけじゃなくて……その……俺、紗英ちゃんのことばっか気になってたからさ」

「えっ!? 紗英のこと?」

「うわぁ~~! 何言ってんだろ、俺……萌ちゃんにこんなこと言っても仕方ねぇのにな!? しかも、今はもういないのに……って、あっ……こういう言い方は悪いよな。ほんっとごめん!」

 立ち止まり、成瀬くんは私に向かって頭を下げて謝ってきた。
 周りは人通りがあるため、すれ違う人たちが不思議そうな顔でこっちを見ながら通り過ぎていく。

「ちょっと、成瀬くん! こんなところで、頭下げたりしないで! 周りの人たちが変な目で見てるから……」

「わりぃ……」

 へへっと笑って、頭を掻く成瀬くん。

 私は何をどう返せばいいのか正しいのか、分からなくなっていた。

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