モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから

最終章 成瀬くんへの想い

 ふたりに怒られるかな? なんて思いながら戻ったものの、雄輝くんも茜も意外と普通に待っててくれた。


(あれ? 探してた感じでもなさそうだよね……)


 すると、雄輝くんがわざと怒ったような表情で私たちの方へと歩いてきた。

「遅いぞ、お前ら……どこ行ってたんだよ」

 隣には茜もいて、雄輝くんのノリに乗った感じで、

「そうだよ~! 私と雄輝くんが戻ってきたら、ふたりがいないからびっくりしたじゃん」

「ごめん、ごめん! ちょっとお手洗いに……な? 萌ちゃん」

「うん」

 ちゃんと『萌』で呼んでくれるんだ?
 気を遣わせちゃって、なんだか申し訳なく思った。

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