振リ返ルコト
第二章
「先輩!お久しぶりです」

三年生の先輩達が、その男の人を囲んでとても嬉しそうに話していました。
私は、その日は眼鏡で、ぼんやりとしかその人の顔を見れませんでした。


「先輩見てください!一年生にこんなに入ったんですよ!先輩も早く着替えてこっち手伝ってください!」

「ほぉぃ!」


その男の人は、笑顔でこちらに向かってきました。


男の人の顔が徐々に分かってきました。近づく足音…。

………その顔が、はっきり見えた時に、私はあの人だったことに気付いたのです。

笑顔の彼と、足音は私を通り過ぎて、道場へ消えていきました。
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