可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
強烈な魔族的性教育書を読み終えたベアトリスは、アイニャの墓の前で座り込んでいた。


「アイニャ、私。全然何もわかってなかったわ。魔王様が私を大事にしてくださっていたのにギャンギャン喚いて」


赤ちゃん扱いしないで!なんて叫んだ赤ちゃんの自分が恥ずかしくて、ベアトリスは膝を抱えて顔を埋めた。


「魔国では人間国と違ってそういうことはゆっくりなんですって。魔王様が触れあいから仲良くが始まるとか言ったのは魔族的年上ジョークだったのよ。

私ったら真に受けて」


アイニャの前では弱音を吐ける。ベアトリスは存分に穴に入りたい想いをぶちまけた。


「ああもう!魔国に入れば魔国に染まれなのに!私がキスを強請ったのは痴女行為だったなんて。消えちゃいたいわ!」


情けなさに埋まるベアトリスはジンに謝りたい気持ちがある。だが、なんと言っていいのかわからなかった。


「知らなくて痴女ってしまってごめんなさいとか言えばいいのかしら。恥の上塗りだわ!」


アイニャの小さな墓を見つめて、ベアトリスは微笑む。アイニャは死んでからもベアトリスの心を支えてくれている。


「魔王様に、会いたいにゃー」


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