可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

ベアトリスとジンが魔王城のほど近くにあるアイニャの墓にたどり着くと、すでに花が添えられていた。


「エリアーナ様、来てくださったのですね」

「意外とマメだな」

「本当に意外ですわ。サイラス様と一緒に来られたのかしら?」


ベアトリスが笑顔を零して、綺麗に彩られたアイニャの墓を撫でた。全身の火傷から蘇ったエリアーナはきちんとベアトリスに謝罪した。


ベアトリスは彼女の罪を決して許さないと言い、償いの条件を定めた。


魔国で最初の女の子の友だちになって欲しいと。


『そんなんでええんか?!王妃様はアホやわ』


アホエリアーナにアホと言われてサイラスは大笑いしていた。だがそれ以来、エリアーナとの穏やかな交流が続いている。


ベアトリスはアイニャへの墓参りを条件に付けたりしなかった。だが、エリアーナは花を添え続けてくれていた。


そこには彼女の誠意が、見える。


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