「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

扉の向こう側とこちら側と

「起きているわよ」

 反射的にクストディオの問いに答えていた。

 しかも、必要もないのに控えめな声量で。

 さらに必要がないのに扉を開けていた。

 こちらは、無意識の内にである。

 そして、クストディオと向かい合っていた。

「な、なによ」

 彼に対するわたしの第一声がそれだった。

 クストディオの呼びかけに間髪入れずに応じてしまったことから、彼に待ち構えていたと受け止められてしまう。

 すくなくとも、わたしだったらそう受け止める。

 気恥ずかしさと気まずさから、ついつい不愛想になってしまったのである。
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