「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 おれ自身、アルファーロ帝国の王女とバラデス王国の亡き国王の血をひく子だと信じているから、その血統に甘んじていたのだ。

 これはきっと、恥ずべきことだ。

 その点では、カヨは違う。そう言いきれる。

 彼女は、味方に対しては分け隔てなく接することが出来る尊い性質を持っている。 

 彼女は、味方に対してだけではない。厳密には、敵と理不尽であったり悪人であったりする連中に対してはいっさい妥協も容赦もしない。

 なにが言いたいかというと、彼女は身分に関係なくだれにでもかわりなく接する。

 エドムンドとフェリペに対しても、おれと同じように接しているわけだ。

 子どもの頃からいっしょにいるおれと同等に、彼らと接しているのである。

「世紀の悪女」という二つ名を知っていれば、そんな彼女のざっくばらんな態度が意外らしい。そして、中には勘違いする男もいるかもしれない。

 彼女に惹かれるのだ……。
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