「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

わたしが囮になるわ

「それだったら、わたしが囮になりましょうか? 第一王子を、わたしの魅力でをひっかけるの」

 グラスを傾け、三人の男たちを見まわしつつ提案した。

「それで、エド。第一王子を見つけたとして、きみたち二人だけで会うのか? おれも会ってみたいのだが」
「ですが、クスト様。あなたが会うような人物ではありませんが」
「ちょっと、待ちなさいよ」

 隣に座っているクストディオに体ごと向くと、唾が飛び散る勢いで彼に迫った。

「な、なんだよ、カヨ。近すぎるから離れてくれ」

 クストディオは、上半身をのけぞらせた状態でうしろへお尻をずらし始めた。
< 201 / 426 >

この作品をシェア

pagetop