「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「あなた、ほんとうに失礼ね。わたしがデブだと言いたいのよね? これのどこが? ああ、そうね。このバラデス王国のレディは、骨と皮だけのレディしかいないのよね。悪いけど、骨と皮だけのレディが魅力的だとは思わないわ。豊満な胸、プリッとしたお尻。そんな体型の方が、男性だってよほどそそられるはずよ。ねえ、あなたたち?」

 うしろで立ちすくんでいるクストディオとエドムンドとフェリペに同意を求めると、彼らが無言で頷いたのを背中で感じた。

「まぁ、それは否定しないがね。だが、きみは豊満な胸ではないし、プリッとしたお尻でもない。いずれにせよ、おまえにはそそられない」

 彼は、よりにもよってわたしの胸とお尻に視線を走らせてからぬけぬけと言い放った。

 同時にクストディオにも「そそられない」と言われたことを思いだした。

 ムカつくのはムカついている。だけど、傷ついてもいる。
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