「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 気がついたら、厨房内を行ったり来たりしていた。

 これは、癖のようなものかしら。

 なにかを考えたり思ったりするとき、じっとしていられないのである。

「向こうがそのつもりなら、こちらもそれ相応の対応をしないとね。いいわ。向こうの思惑を利用させてもらいましょう」

 そう決断したとき、フェリペがお茶を淹れ終わった。

 エドムンドとフェリペと三人で厨房を出て居間へと向かった。

 どういうやり取りになるのか、楽しみだわ。

 体中の痛みのことは、すっかり忘れてしまっていた。
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