「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「利害の一致、というやつさ」

 わたしが口を開くまでに、クストディオが説明を始めた。

「アルマンドは……、そうだった。カヨ。彼は、アルマンド・サルディバルだ」

 クストディオは、説明しかけたけど思い出したかのように第一王子の紹介をした。

 ローテーブルの向こう側にいる第一王子は、手を振って愛想笑いをしている。

 どうでもいいけれど、急に馴れ馴れしくなっている。

 ほんと男性ってわからないわ。

「彼は、国王の座などには興味がないらしい」
「国王になどなったら、寿命を縮めるだけだ。いつ殺されるかわかったものではない。それまで味方だった者も敵になってしまう。だれかさんに飼われてしまうからな。孤立無援にされ、すべて言いなりになるしかない。なにより、レディとすごすことが出来ない。国王の座など、いくらでもくれてやる」
「なるほど。てっきり第二王子に奪われそうだから、悔しまぎれに愚策を弄しているのかと思っていたわ。アルマンド、あなたもヘルマンもね」
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