「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 やはり、彼女は食いついてきた。そこは読み通りだった。が、彼女の兄のエルネストまで行くと言いだしたのは意外だった。

 彼もまたおれに親身に接してくれる。じつは、カヨのことを相談したこともあった。味方になってくれるのはわかっている。だからこそ、さきのわからない状況に連れ込むことは出来ない。

 なにかあっては申し訳なさすぎるから。

 そして、カヨの両親も同様だ。

 いざとなったら、おれの味方になってくれる。そのはずだ。

 というわけで、彼女の気がかわらない内に出発した。

 バラデス王国に行ったもの勝ち、というわけだ。
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