「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 二階から居間にやって来る途中、クストディオに地下室でのことを尋ねたいのをグッとガマンした。

 そして、彼は彼でそのことについて話そうとしなかった。

 もしかしたら、ヘルマン来襲、ではなくって来訪のことに気をとられているのかもしれない。

 いずれにせよ、クストディオ自身が話してくれるまで待つしかない。

 いまは、いま直面している問題に対峙すべき。

 そうよね?

 何度も自問自答しつつ階段を降り、廊下を歩き、居間にやって来た。

 そして、司祭服姿のヘルマンを目の当たりにした。
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