「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 彼らがまだ食べていなかったり、というか、まだ食べていないのでしょうけれど、もしも彼らの分も大皿にのっていたのだとすると、なくなってしまった以上彼らはありつくことが出来ない。

 つまり、わたしたちが彼らの分まで食べてしまったということになる。

 だけどまぁ、彼らは食べていなかったとしても正直には答えないはず。

(心が痛むわ)

 心を痛めていると、エドムンドが「カヨ様、お気遣いありがとうございます。おれたちは大丈夫です」と曖昧な答えをよこした。

「そう。とにかく、美味しかったわ。ありがとう」

 さらに心が痛むけれど、そう答えるしかない。だからそうした。

「とってつけたような言い方だな」
「あなた」

 クストディオがいわれのない誹謗中傷をしてきたので、反射的に彼の足をおもいっきり踏んづけてしまった。

 ローテーブルの向こう側にいるヘルマンに、それが見えるわけがない。
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