「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 だが、同時に危惧の念を抱いた。

 第一王子アルマンド・サルディバルもまた、カヨの魅力に魅せられたのだ。

 まず間違いないだろう。

 恋する男は、レディ同様こういう勘が鋭くなるのだ。

 それとは別に、アルマンドはカヨとおれが夫婦ではないことにも気がついている。おれたちが夫婦を装っているということに、彼は気がついている。

 というよりかは、調べさせたかなにかで情報を得ているのだろう。

 その上で、彼はおれにアピール、もしくは挑戦状をたたきつけているのだ。

『機会があれば、カヨをモノにしてやるぞ』

 そんなふうに。

 これでまた、ライバルが増えたわけだ。
< 326 / 426 >

この作品をシェア

pagetop