「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする～手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある？～

　このわたしが不貞を働いたらしい。その相手がまた笑える。よりにもよって犬猿の仲のクストディオ・トルタハーダというから、世の中なにが起こるかわからない。それから、聖女の家系であるブランカ・プレシアドをひどいめにあわせたとも。

　長年不貞と虐めを働き続けた罪は重い。

　皇都から追放された。しかも、皇帝や皇太子の相談役という重要な役割を担っているお父様とお母様まで。

　はやい話が、あのバカはわたしを追い払いたいだけでなく、煩わしいお父様も追い払いたいのである。

　そのめちゃくちゃな断罪劇が知れ渡ると、だれもが呆れ返った。

　皇太子とブランカのことは、周知の事実。

　だれもが嘲笑した。

　そして、バカな皇太子の行く末を確信した。