「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「いや、そうではない。おれがききたかったのは、おれの妻ってところだ」

 癒されていると、クストディオが迫ってきた。その勢いに驚いてしまった。

「妻? ああ、そういった方があのクズ男には効果的でしょう?」
「そうか、そうだよな」

 彼は、なぜかガックリ両肩を落とした。

 本心は、偽装とはいえ彼の妻を名乗ることはうれしい。だけど、そんな素振りは見せられない。彼に迷惑でしょうから。

 でも、このままふりを続けていれば、彼もそのうちわたしに情がわくかもしれない。それに、わたしも自分の気持ちに整理がつくかもしれない。

 彼のことが気になりすぎてどうにかなりそうな、そんな気持ちが。
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