「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 ヘルマン・サルディバル王子のいわゆる隠れ家のひとつらしい。彼らのような支配者階級は、万が一なにかあった場合に逃げたり隠れたり出来るよう、家屋敷を準備していることがすくなくない。

 ヘルマンに過剰に負担をかけたくない。というよりか、ムダに借りをつくりたくない。彼が把握している状況下に無防備に身をさらしたくない。
 
 しかし、他に知り合いや伝手がない以上、いまのところはヘルマンに甘えるしかない。

 というわけで、いまは彼の屋敷で世話になることにした。
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