近頃なぜか気になる彼は、親友の弟くん☆

第9話 レゴを踏む

「そうそうこの間の結《ゆい》が教えてくれた算数の公倍数のトコがさ〜」

 相変わらずかっちゃんは寝転んだりしたり立ったり、自分の部屋をウロウロしながら星のノートに落書きしたり、おやつのじゃがいもを揚げたチップスを食べたりしてた。

「うんうん」

 かっちゃんに相槌しながらわたしは立ち上がり、かっちゃんの勉強机にある鉛筆削りで鉛筆を削ろうとした。

「い、痛あっ!」

 絨毯に転がってた大きめのレゴを踏んでわたしは転びかけた。
 そしたら慌ててダイブしてきた、かっちゃんに抱きとめられてた。

「大丈夫? 結?」

 かっちゃんの顔が近い。
「うっ、うん……」
「結《ゆい》。ごめん。レゴ一個片づけ忘れ」 

 慌ててかっちゃんからパッて離れたら、かっちゃんはなんだか悲しそうだった。

「ごめん。結《ゆい》が怪我するとこだった。今度から気をつけるね」

 かっちゃんは下を向いていた。
 しょぼんとしている。

「だっ、大丈夫だよ〜。かっちゃんが助けてくれたから、怪我しなかったもん」

 私はドキドキしてた。

「うん。……よかった。――でさ、結。俺テストで〜」

 かっちゃんは、その……、ドキドキしないのかな?

 私はかっちゃんに転んだのを助けてもらって。あんなにかっちゃんの顔が近くて、すっごくドキドキしたのに……。

 だってね、今も。
 わたしは今もそう。
 こ〜んなにね、ドキドキしてるのに。
< 9 / 25 >

この作品をシェア

pagetop