甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
ペロリと舌なめずりをした唯月くんの顔。その艶めかしさは、間違いなく吸血鬼のソレだった。


「白い肌、赤い目、立派な牙⋯⋯。本当に、唯月くんは吸血鬼なんだね」

「しかも“最強”の。ね?」


大きな牙が、私の肌を滑る。ツツツと牙が動くと、恐怖と少しのくすぐったさで、ピクンと体が跳ねた。


「い、痛く⋯⋯しないでっ」

「痛くしないよ。約束する。だけど――そんな可愛いことを言われたら、激しくしちゃうかもね?」

「いや⋯⋯!あ、んん――っ」


プツッと、牙により皮膚が破られた瞬間。私の全身から、力がゆっくり抜けていく。


ジュル、ジュル――


「はぁ、美味し⋯⋯。雨水さん、ごめん。

もっと、もっともっと、

俺にちょうだい?」
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