甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
太陽の下、平気で走り続ける唯月くん。すごいなぁ、私が吸血鬼だった頃。どうも太陽の光は苦手で⋯⋯。

唯月くんは吸血鬼神――「最強」と言われるだけあって、並大抵のことじゃ動じないらしい。


「唯月くんに弱点ってあるのかな?」


唯月くんを羨みながら、ぼーっと考えていた時だった。


「危ない!」

「え?わ、ぶっ!?」


声のする方へ顔を向けた瞬間。頭にボールが直撃する。軽い脳震盪が起こったらしく、グラリと視界が歪んだ。


「わ、わゎ⋯⋯っ」


まるで眩暈のような感覚に立っていられなくて、その場に座り込む。すると「大丈夫か!?」という男子の声が、私の近くで響いた。


「悪ぃ!俺の蹴ったボールが、すごい方向に飛んじまって⋯⋯。おい、立てるか?大丈夫かよ」
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