【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
「っわ、私はあなたのゴハンじゃないわ!」

 薔薇乙女だからそんな風に思われるんだろう。
 結局律さんが欲しているのは私の血で、その血を持つから私を欲しがってるだけだ。

 なんとか落ち着こうと、そんなことを考える。
 そうだ、みんなが欲しがってるのは結局私の血だけ。
 ……そう、思おうとしたのに――。

「そうだな、お前に向けるのは食欲じゃない」

 律さんはフッと笑い手を伸ばしてくる。
 ビクッと警戒した私に一瞬手を止めたけれど、ゆっくりした動作で私の髪を耳にかけてくれた。

 優しく微笑む極上に美しい顔が近づく。
 アメシストの目を縁取る長い睫毛がハッキリと見えるくらいになって、律さんは続きを囁いた。

「緋奈……お前の血も心も、全部丸ごと愛してやる」

 チュッ

 言葉の直後、サッと動いた律さん。
 頬に柔らかいものが触れて。
 撫でるようにサラリと銀髪がこすれた。

 頬にキスされたと理解したと同時に、律さんは「じゃあな」とイタズラが成功した子供のような笑みを残して去って行く。

「……え?」

 律さんの姿が見えなくなってから今されたことや言われたことをもう一度頭の中で繰り返した私は……。

 ボンッ!

 沸騰したんじゃないかってくらい顔が熱くなった。
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