【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
「で、緋奈……だっけ? ヴァンパイアの血を見てああなるなら、本当に早く吸血契約した方がいいと思うんだけど……もしかして、律さんと契約する気だったりするか?」
「っ⁉」

 律さんの名前を出されて、一気に前日にされた頬キスのことを思い出す。
 一緒に言われた言葉も思い出してカァッと顔が熱くなった。

 そんな私を見て何を思ったのか、潤くんはうろたえる。

「なっ⁉ その反応、もしかしてまだ契約してないってだけで律さんに決めてるってことか?」
「え⁉ ちっ違うよ⁉ 私誰と契約するかなんて決めてない!」

 律さんへの恥ずかしさと勘違いされた恥ずかしさを振り払うように思い切り頭を横に振った。
 すると潤くんは明らかにホッと胸をなでおろし私を真っ直ぐに見つめる。

「じゃあさ、俺にしろよ」
「え?」
「緋奈と吸血契約してぇって言ってんの」

 目をパチパチ瞬かせる私に、ハッキリと言葉にする潤くん。

 昨日は好意なんて感じなかったのにいきなりそんなことを言われても困る。

「……それ、私の血を飲みたいだけでしょ?」

 律さんのように熱っぽい眼差しを向けられているわけでもないからそうとしか思えなかった。
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