一途な気持ちは止められない
最終章

戻った日常

「おはよう、夏菜子」


 そう言って立ち上がった藍はいつものように夏菜子の耳にキスをする藍。


「おはよう、藍くん」


 耳へのキスに何も気にしていないかのように振舞う夏菜子。


 夏菜子は今日、意を決して試してみたいことがあった。


 藍の周りをくるりと囲むように歩いて、藍の真横に立ち止まった。


「何? 何?」

 
 藍は心なしか夏菜子の言動を見て楽しんでいるようだ




 『ちゅっ』




 藍の頬に夏菜子の方からキスをしてみたかったのだ。


 いつも夏菜子ばかり恥ずかしい思いをしているのだから、藍の驚く顔が見たくてその行動をとったのだが……。




「夏菜子! 嬉しいよ! もっとキスしてくれてもいいんだからね。

 俺たちは付き合っているんだから、堂々としていればいいんだ」




 そう言って思い切り抱き着いてきた。
 
 夏菜子を持ち上げるくらいの勢いだった。


「まって、苦しい、苦しいよ!」



 『ヴァンパイアは一途』

 その言葉は間違いではなかった。


 愛する人からのアプローチは驚くよりも幸福でしかないようだ。


 それでも、喜ぶ藍の顔が見られて凄く嬉しい夏菜子。


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