エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
◇運命の番とは


「本当にすみませんでした!」


 深々とお辞儀をし、目の前で怒っているマダムに全力で謝る。


「本当に、家に帰って見たら違う商品が入ってるなんて思わなかったわ!」

「本当に申し訳ありません……」


 頭を深々と下げていると後ろから先輩がやってきてフォローに入ってくれた。言葉巧みにマダムを宥め、次回の無料引換券を渡されて「まぁ、そう言うことなら……仕方ないわね」と最後は折れてくれて帰って行った。


「初日から大変な人に引っ掛かっちゃったのね、葉月さん」

「し、島田チーフ……ありがとうございました」

「いいのよ。私は葉月さんの教育係だし、一人にしてごめんね」


 私、葉月(はつき)(いと)は大学を卒業をした後にメイクをする人になりたくて美容専門学校に行き、憧れだった百貨店にある化粧品メーカーに内定をもらったのは専門学校を卒業間近だった時だ。

 そして一ヶ月の研修期間が終わったので無事に美容部員になって一日。初日なのに、失敗をしてお客様に怒鳴られたという……上手くはいかないなぁ


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