エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
◇番になります


 仕事のないお休みの日。
 私は、用意してもらった朝食を食べてダラダラとしていた。今日は志野谷さんに話をしようと決めていたのに、勇気が出なくて言い出すことが出来なかった。


「愛さん、ちょっといいかしら?」

「え、あっ……はい。大丈夫です」


 部屋にやって来たのは、志野谷さんのお姉さん。私がお休みで家にいることを誰かから聞いたのかわざわざ来てくれたみたいだ。


「……そういえば、まだ婚約してないんだって? 愛さんと慈」

「はい、すみません。私が、覚悟できていなくて」

「謝らないで。でも、まぁ分かるかも……私も旦那に番って言われて夫婦になったのよ。最初は受け入れられないわよね」


 そうか、お姉さんも運命の番と出会って番となって結婚したんだ。交際ゼロ日のスピード婚だって言ってたな。

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