エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
8.きみを守りたい



和太鼓コンサートの期日が来週に迫っていた。週明けには演奏者やスタッフがイタリア入りする。
フードサービスのワゴンなど、同時開催のイベントも詰めの時期だ。
このイベントはほとんど俺が仕切っているので、自由が利く分忙しさもある。表向きの実績としてはおあつらえ向きの成果になるはず。少々大変だが、ここはふんばりどころだろう。

一方で、裏の仕事……ヴァローリ議員関連のことは少々きなくさい。
外務省の真野室長には報告をあげたが、現段階は引き続き情報収集を続けろとの指示。俺と菊乃が会食で見聞きした情報で確かなのはルース島という文言のみ。

推測の域を出ないが、菊乃が見たメモの内容は“取引”の一端だろう。俺が聞いた情報と同じか類似したものか。そんな重要なものを落としてしまったあの男はおそらくヴァローリの正式な秘書ではない。その後、改めてヴァローリ周囲の人物を調べたが、俺が見た男はいなかった。それがメモの信ぴょう性を高めている。

目下一番の問題は菊乃の立場だった。
ヴァローリ側は菊乃がメモを見たと思っている。菊乃が会食時に流暢なイタリア語を披露しているのも裏目に出た。実際菊乃は、他人のメモは見ないという思考でメモを返したというのに。
菊乃には当分ひとりでの外出はやめてもらっている。買い物は俺と一緒にしているし、ガス抜きに旅行にも連れ出した。俺も菊乃も、警戒などしていないと見せかけるためだ。
念のため、堂島さんにも事の次第は話してある。防衛駐在官、所謂駐在武官である堂島さんは、イタリアの先輩でもあり、いざというときにフィジカル面でも頼りになる。
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