エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
1.小枝菊乃は弁当店勤務である



マルナカ弁当日比谷公園前店は私・小枝菊乃(きくの)の勤め先だ。一応、店舗責任者だったりする。
都心ど真ん中、日比谷公園近くのビル一階にあるこの店舗はいつも混雑する。千客万来、ありがたいことです。でもお昼時は毎日戦争のようだ。ピークが過ぎると一度閉店して、夕方に再オープン。仕事や学校から帰るお客さんがお弁当を買っていく。

「いらっしゃいませ」
「日替わりひとつと唐揚げ五個入ね」
「ありがとうございます。ご一緒にポテトサラダはいかがですか? 今日はサービスデーなんです」
「お、じゃあ、それももらおうかな」

カウンター越しにお客さんとやりとりをするのも、丸四年になる。短大を出て、伯父さんの経営するマルナカ弁当の正社員にしてもらえたのはありがたいことだ。

「ホイコーロー弁当と唐揚げ弁当ね。ポテトサラダも」
「ありがとうございます。お箸はいらないんでしたね」
「そうそう、覚えててくれてありがとうね」

都心の弁当店といっても常連も多く、名前は知らなくても顔見知りといった関係のお客さんばかりだ。接客は手早く、アットホームに。マルナカ弁当の味が好きで、わざわざ買い物に来てくれる人たちには、少しでも明るい気分になってほしい。

(あ……)

わずかに人の流れが切れたタイミングで店内に入ってきた男性がいる。私は心の中で声をあげた。
いつも来てくれるお客さんだ。
年の頃は三十代前半だろうか。すらっと背が高くいつも黒っぽいスーツを着ている男性。ワックスで前髪をオールバックに固めていて、堅そうな雰囲気が伝わってくる。
そして一番の特徴は、とにかく顔立ちが綺麗で整っているということ。
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