エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「博已さん?」

菊乃に話しかけられ、俺は内心ぎくりとした。

「なに?」
「あ、なんでもないんです。急に黙っちゃったから、心配しただけで」
「ごめん。どこのサービスエリアで休憩しようか考えてたんだ」
「あ、そうなんですね。私がソフトクリーム食べたいって言ったからですか?」

今日は暑くて、長野の実家を出発したばかりのときに彼女は確かにそんなことを言った。きみと本当の夫婦になる方法を考えていたとは言えない俺は、彼女の話に乗った。

「ああ、ご当地ソフトが売っているところもあるからね。希望があれば言ってくれ」
「わ、じゃあ、急いで調べます!」

うちの両親から持たされた漬物や煮物入りのクーラーバッグを横に置き、彼女はスマホを取り出した。
横顔を盗み見て本当にかわいいと感じる。十歳も年下の女性に、これほど夢中になるとは思わなかった。
菊乃の希望で決めたソフトクリームをサービスエリアで食べた。清々しい五月晴れの中、好きな女性とソフトクリームを食べている。中学生のような初々しい喜びを感じた。

「博已さん、ちょっと考えたんですけど。やっぱり私たち、もう少し夫婦っぽく見えた方がいいんじゃないですかね」

ソフトクリームを食べ終え、コーンに巻かれていた紙を折りたたみながら菊乃が言った。内心、俺はドキドキしていた。以前はこの流れで手をつなげた。またチャンスだろうか。

「今日、両親と会ったときのことを気にしてる? きみは頑張って恋人らしく振舞ってくれたと思うけど」

菊乃は意識して普段より俺に寄り添うようにしてくれていた。親しげに俺の腕に触れたり、甘えた視線で近距離から見上げてくれたり。ちょっとしたご褒美をもらったような気分だった。
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