エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
すると清原さんは私の顔をまじまじと見て言う。

「毎日忙しそうにしていた小枝店長もキラキラしていましたけど、今の菊乃さんはなんだか穏やかで落ち着いていて……人妻の余裕って言うんですかねえ。とにかく、いい雰囲気です!」

なるほど。愛された女が綺麗に……という構文じゃないけれど、私の今の日々は穏やかな楽しさがある。
マルナカ弁当に勤務していた頃ももちろん幸せだったけれど、今は夢に向かって毎日頑張っているのだ。隣には憧れの人。優しくて、どこまでも受け入れてくれる素敵な旦那様。
人から言われて実感するのも妙だけれど、私って幸せなんだ。その幸せをもたらしてくれた博已さんの顔がぽわんと浮かんで、心が温かくなった。

「からかわないでよ~」

私は清原さんと笑いあい、居残っているスタッフに挨拶をしてから元職場をあとにした。



博已さんと同居して約五ヶ月。
私たちは着実にパートナーとしてレベルアップしていると思う。
互いのプライバシーを尊重しつつ、家事を分担し、居心地よく過ごせている。仲のいい夫婦を装うために、実際に距離を縮める努力だってしている。握手とハグは毎日の習慣だ。
博已さんの腕は思ったより筋肉質で、胸は厚みがあってたくましい。男性的なコロンの香りにもドキドキして、一日一回のふれあいの時間は至福の時間。

一方で思う。私が感じる嬉しさをきっと、博已さんは感じていないだろう。
彼は仮にも妻の私に触れようとはしない。同居スタート時に宣言した通り、私を女性として扱いながらも性的な相手とは見ないようにしているようだ。
それでも毎日ハグをしていて、まったく何も気にされていないのは少し寂しい気がする。
清原さんは綺麗になったと言ってくれたけれど、それは本当に夢を追いかけている気力のからであって、夫から愛されて幸せで輝いている女性という意味合いではない。
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