エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
来週末、会食で会う予定であると話すと堂島さんが尋ねる。

「奥さんには何も話していないんだろう」
「はい。彼女にも同行してもらいますが、イベントに力を貸してくれる有力な議員との会食だと思っています」

菊乃には当初の計画通り、一切俺の活動については話していない。
万が一トラブルに巻き込まれたとき、彼女にまで累が及ぶのを避けるなら、言わないほうがいいという考えは今も変わっていない。

「まあ、俺も何かあったときのことを考えて嫁と子どもを置いてきてるしな。おまえの判断は正しいよ」
「一般職員と思っておいてもらった方が安全です。……それに妻を不安にさせたくないんですよ。海外生活に夢を見てついてきてくれた妻に、実は夫が諜報活動をしていたなんて知られたくないでしょう」

堂島さんは少し考え、口を開いた。

「加賀谷の奥さんは若いがしっかりした女性に思えたぞ。彼女なら、何かあっても受け入れてくれるんじゃないか?」
「そうかもしれませんが、俺が嫌なんですよ。彼女にはひたすらに楽しく暮らしてほしい」

自分の仕事を恥じるつもりは一切ない。外務省における俺の仕事は特殊でありながらも、非常に重要な職務であると理解している。
それでも、諜報活動という裏の側面を、彼女が知る必要はない。


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