敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜


 二人はお互い素直になれなくて本当の気持ちが伝えられず、こじれにこじれてしまっていた。
 運命の赤い糸で結ばれているとはいっても、互いに素直になれずいがみ合ってばかりいると運命の相手を引き寄せる赤い糸が細くなり最後は途切れてしまうようだ。
 今の二人を結ぶ赤い糸は以前とは違いしっかりとしていて、クラウスとアニーの時のように黄金色の光を放ちながら輝いている。

 仲直りした二人は二年後、無事に結婚した。



 ◇

 オーレリアが皇子たちの嫁探しに奮闘している間、皇帝の面会謝絶も医師によって何度か解除されることがあった。だが、相手はハルディオ帝国の皇帝だ。宰相を含む臣下たちが連日のように嘆願書をひっさげて見舞いへ行くため、オーレリアが面会する時間は回ってこなかった。

 結局、帝国へ嫁ぎに来てから既に三年が経ってしまっているがオーレリアはまだ皇帝と結婚どころか面会すらできていない。


 そして二人の皇子の嫁を見つけ出したオーレリアの噂は、帝国中に知れ渡り評判となった。これまでいくら叩いても何も出てこない、女の影すらなかった二人の皇子を見事に結婚をさせたのだ。
 周りの貴族たちはオーレリアの神の恵みに興味津々かつ、自分の運命の相手を確認して欲しいという者まで現れ始めた。
 もちろん、そのすべてをトラヴィスが突っぱねていたので、オーレリアのあずかり知らぬことだった。

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