先生、私たち付き合いませんか?
好きですよ
そして後日。
理科の長瀬理玖先生とは連絡が取れず、行方不明という扱いになった……と言っても、各々が色々な事を予想している。
『教師同士でトラブルがあり、まだ若い長瀬先生が学校を追い出されたのではないか』
そんな教師の闇を暴こうとしている人。
『好きな人がご令嬢で、駆け落ちしたのではないか』
その意見に「え〜、嫌だ〜」などと笑いながら言う人。
駆け落ちなんて……どこの漫画だよー!ってツッコミたくな……る……
「って、暗いな〜。もっと笑ってくださ……笑ってよ〜」
「お前、バカにしてるだろ」
テンションが低い人が1人。
転校生として入ってきた、今の名前は海瀬遥斗(うみせはると)となった先生。
先生は気づかれたくないのか、ザ・モブ!って感じの髪型やメガネをして転校してきた。
元の姿だと、今頃せんせ……海瀬くんの机の周りは女子だらけだっただろう。
私としては変装してきてくれて好都合。
「海瀬く……いや、遥斗の事独り占めみたいで嬉しい」
それにクラスも4分の1の確率に勝ち、席も隣!
「お前なぁ………俺がこの姿になってから態度変わりすぎだろ……」
「お前?私には、明日香って名前がちゃんとあるんですけど」
「うっ……葉澄……」
「明日香」
「あ……明日香」
「うん!なあに?」
遥斗に名前で呼ばれて自然と顔がニヤける。
「お前……何が良くて俺を……好きになったんだよ……」
最後の方声がちっちゃかった……もしかして先生……
「照れ屋!ウブ!」
目を輝かせて言う。
「ばっ……か違う!」
「へぇ?隠さなくてもいいんだよ?私遥斗の秘密知ってるし……ね」
何も言い返すことができない様子。
「………先生」
「………何だ」
耳に小さな声で呟く。
「好きですよ」
すると、先生はそっぽを向く。
「………あっそ」
真っ赤になっている耳は、隠せていなかった。
―――センセイ、他の子を好きになるなんて、ダメですよ?