【短編】会いたいと切に願う

山に一人置いていかれてから数週間後――。



気付けば年も明けて一月。

あれからというもの、私は毎日天気予報を欠かさなかった。


もともとそんなに雪の降らないこの地域。

夜に週間天気予報を見ては落ち込んで、「もしかして……」って思って朝の天気予報を見ては落胆する。

そんな日常を繰り返していた。


だってさ!!

まだ問題の答え聞いてないし。

……じゃないよね。


また、
『会いたい』んだ、私。


あ〜っ、もう一体どうしたって言うんだろう。

今までは来るもの拒まず去るもの追わず。

そんな恋愛してきたでしょ?


私はテーブルに置きっぱなしのリモコンを手に取り、ニュース番組を点けた。



「……うそっ!」



そこにはちょうど朝の天気予報が流れていて、昨日までなかったはずの雪だるまのマークが……あった。


雪ー!!
きたぁーーー!!


喜びで両手を挙げた反動でリモコンは宙を舞い、

ゴンッ

と後頭部を直撃した。



「痛っ」



ってことは、夢じゃない。

どうしようどうしよう。
夜には雪降るって。



『会いたかったよ』

『私も……』

『おいで?』



なんて言われてギューって抱き締められたりして!

ムフフ……。


緩みまくりの締まりのない顔をしたまま、私は大学に行く準備を始めた。


鼻歌なんか歌いながら陽気にステップする。


やっぱさ、うん。
会いたいんだよね、私。


けど、本当に会えるのかな?

会えるとしてもどこで?


……まぁいっか!


考えたって分かんないし、きっと来てくれる、そんな気がする。


ルンルンッ。


誰に見られていようが関係ないもんっ。

私はスキップしながら大学に向かった。


もちろん授業中はうわの空で、窓際の席に座ってずーっと外を眺めていた。





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